わたしの不安Q&A (CBT)

家族が不安で家にこもりがち、CBTの視点からできる見守り方とは

Tags: 不安, 家族支援, 認知行動療法, 引きこもり, サポート

家族が不安で家にこもりがちになる時、どう接したらよいのでしょうか

大切な家族が不安な気持ちを抱え、自宅で過ごす時間が増える様子を見るのは、ご家族にとってもつらいことかもしれません。どのように声をかけ、見守ればよいのか迷われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この状況は、不安という心の動きが、考え方や行動に影響を与えていることと関係があると考えられます。ここでは、認知行動療法(CBT)の基本的な考え方に基づき、ご家庭でできる穏やかなサポートのヒントをご紹介いたします。

不安が行動に与える影響を理解する

認知行動療法では、私たちの「思考」「感情」「身体の反応」「行動」は互いに影響し合っていると考えます。不安な気持ちが強くなると、「外に出たら嫌なことが起こるかもしれない」「人目が気になる」といった考えが浮かびやすくなることがあります。

このような考えが繰り返し浮かぶと、「家にいる方が安心できる」という気持ちが強くなり、結果として外出を避け、自宅で過ごす時間が増えていくことがあります。これは、一時的な安心を得るための行動が、結果的に不安をさらに強めてしまうという悪循環につながることがあります。

大切なのは、これらのつながりを理解し、少しずつでも行動のパターンに変化をもたらすきっかけを作っていくことです。

家庭でできる穏やかなサポートのヒント

家族が不安な気持ちで家にこもりがちな時に、ご家庭でできる穏やかな関わり方には、いくつかの視点があります。

小さな行動の変化をそっと促す

不安な気持ちが大きいと、いきなり大きな変化を起こすのは難しいものです。認知行動療法では、少しずつ小さな行動を試していくことで、自信を取り戻し、不安を乗り越える力を育むことを目指します。

大切なのは、「〜しなければならない」というプレッシャーを与えるのではなく、「もしよかったら」「〜してみるのはどうかな」といった、相手の意思を尊重する穏やかな提案をすることです。行動のハードルをできるだけ低く設定し、例えば「5分だけ」「玄関まで」といった具体的な目標にすることで、行動に移しやすくなることがあります。

感情や考えを「聞く」姿勢を持つ

不安を抱えている時、人は自分の気持ちや考えを誰かに聞いてほしいと感じることがあります。家族の話を遮らず、批判せず、ただ「そう感じているのですね」と寄り添う姿勢は、安心感につながります。

このような言葉は、良かれと思ってかけたものでも、相手にとっては「自分の気持ちを理解してもらえていない」と感じさせてしまうことがあります。相手の感情を受け止め、「それはつらい気持ちですね」と共感する言葉を選ぶことが大切です。話したくない時は、無理に聞き出そうとせず、ただそばにいるだけでも、安心につながる場合があります。

安心できる環境を整える

自宅が、誰にとっても安全で安心できる場所であることは非常に重要です。プレッシャーを与えない雰囲気作りを心がけ、本人が自分のペースでいられる空間を大切にしてください。

ご自身の心も大切にする

家族の不安を見守るご自身もまた、様々な感情を抱えることがあるでしょう。焦りや心配、時に疲れを感じることもあるかもしれません。ご自身の心身の健康を保つことも、大切な家族をサポートし続ける上で欠かせないことです。

まとめ

家族が不安で家にこもりがちな時、大切なのは焦らず、ゆっくりと見守り、小さな変化を応援する姿勢です。認知行動療法の視点からは、不安な気持ちと行動のつながりを理解し、ご家庭でできる範囲で、少しずつ行動のハードルを下げていくことが助けになる場合があります。

ここに書かれている内容は、あくまでご家庭でできる穏やかなサポートのヒントです。もし、ご家族の不安が長く続く場合や、日常生活に大きな影響が出ていると感じられる場合は、専門機関に相談することも一つの選択肢として考慮されても良いかもしれません。どのような場合でも、ご家族のペースを尊重し、安心できる環境で見守っていくことが何よりも大切です。